原因不明の乏精子症で体外受精しか治療方法が
ない私たち夫婦。
不妊治療専門クリニックの
セントウィメンズクリニック、
通院開始4周期目。
ついに採卵周期です!
待ちわびた採卵周期!
通院頻度とお金がとにかく
エグい!
体外受精のための採卵周期は、
- どんな治療や検査をするのか。
- どのくらい通院が必要なのか。
- どのくらいお金がかかるのか。
- 実際、痛いのか、つらいのか。
私の体験を元に紹介していきます。
採卵とは?
体外受精は
体外に取り出した卵子と精子を受精させ、
できた受精卵を女性の体に戻す方法です。
そのため卵子を一度体外に取り出す必要が
あり、これを採卵と言います。
通常卵子は1周期あたり1個育ちます。
一方、採卵では排卵誘発剤を使用し一度に
たくさんの卵子を同時に育てます。
注射は8〜10日間毎日打ち続けます。
毎日注射を打つことはもちろん、注射のために
頻繁に通院することも大きな負担になります。
最後は静脈麻酔下の手術で、
膣から卵巣に向かって針を刺し、卵子を吸引
して取り出します。
そして体外受精は高度不妊治療であり
全額自費です。※2023年現在は保険適用!
体調面、通院面、金銭面。
不妊治療において最も負担が大きいのが
採卵周期だと言えます。
採卵周期の通院は7回
採卵周期の通院は全部で7回。
通院スケジュールはこんな感じ。
1回目 自己注射開始
1回目の通院は、生理3日目。
診察の内容は、
- 子宮腔内細菌検査
- 排卵誘発剤の投薬指導
お会計は67800円【自費!】
(ゴナールエフ900:56000円)
子宮腔内細菌検査
子宮腔内細菌検査は、本来無菌の子宮内に
細菌が入り込んでないか確認する検査です。
細菌がいると子宮内に炎症を起こし
着床環境を悪化させます。
また仮に妊娠できても流産や早産の原因
になります。
検査は内診台でいつも通り中を診てもらう
ついでに粘液を採取されるだけで簡単に
終わります。
準備周期の検査で検出された
ガードネレラ菌が除菌できたか
確認検査。
無事除菌できてました!
排卵誘発剤の投薬指導
排卵誘発はクロミフェン-HMG/FSH法。
最も一般的な軽度排卵誘発方法で、
中刺激〜高刺激まで調節可能です。
私が使用した排卵誘発剤は、
- クロミッド(飲み薬):1日1錠
10日間 - ゴナールエフ(注射):1日1回
10日間
クロミッドは排卵誘発剤の錠剤。
脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を
促すことで卵胞を育てます。
ゴナールエフは卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤。
卵胞刺激ホルモン(FSH)を直接注射することで
卵胞を育てます。
これらの薬を使って、
たくさんの卵胞を同時に育てていきます。
ちなみにゴナールエフはめちゃくちゃ高い!
ゴナールエフ900(6日分)で1本56000円!
遺伝子組み換え型FSH製剤で不純物を含まない
ので、アレルギーや感染症を起こしにくい利点
はありますが、とにかく高いです!
脳下垂体のはたらきが弱いせいで
この薬に。。
もっと手ごろで良い薬はいっぱい
あるのにー!
高いですがゴナールエフはペン型自己注射
なので打つのが簡単です。
針は4mmと細く短いので
恐怖感もありません。
診察室で院長が直々に使い方の説明と
1回目の注射をしてくれます。
お腹にブスッとやられます!
心の準備をする隙は一切なしです笑
注射部位は自己注射であれば、
お腹か太もも。
誰かにお願いする場合は、お尻も可能です。
当事者意識を持ってもらうため、
毎日旦那さんにお尻に打ってもらい
ました!
お尻の方が痛みは少ない気がします
2回目 卵胞チェックと性病検査
2回目の通院は、生理8日目。
排卵誘発剤はすでに5日間投薬済みです。
この頃から下腹部に違和感が。
張ってるような、重いような、
時々鈍くて軽い痛みがあるような。
違和感はあるけど体はだるくないし、
意識もクリアでした。
卵巣いっぱい刺激して卵胞育ててる
から張ってきたのかな?くらいの
感覚です。
診察の内容は、
- 性病検査
- 卵胞チェック
お会計は38082円【自費!】
(ゴナールエフ300:25000円)
性病検査
性病検査は血液検査にて。
血液試験3本分、約15mlの採血でした。
検査項目は、
HBs抗原 | B型肝炎。生まれてくる赤ちゃんにも 感染するおそれがある。 (ワクチンで予防できる!) |
HCV抗体 | C型肝炎。生まれてくる赤ちゃんにも 感染するおそれがある。 (約10%の確率。予防できない。 治療法はある!) |
RPR | 梅毒。現在感染しているかの確認。 胎盤を通じて胎児に感染し、死産・早産・新生児死亡を起こすことがある。 (治療可能!) |
TP抗体 | 梅毒。過去に感染したことがあるかの 確認。これが陽性でもRPRが陰性で あれば通常問題ない。 |
HIV抗原・抗体 | HIV感染症。エイズ。免疫機能を破壊して病気にかかりやすくするウイルス。生まれてくる赤ちゃんにも感染するおそれがある。 (治療、予防可能!) |
性病検査はすべて陰性でした!
卵胞チェック
超音波検査で卵胞の育ち具合を確認します。
排卵誘発剤によって何個育っていて、
今どのくらいの大きさなのか。
育ち具合から今後の薬の量を調節します。
詳しい個数や大きさは聞いてません
が、順調な様子。
もう少し育てる必要があるとのことで自己注射
が追加処方。
ゴナールエフ300(2日分)で1本25000円!
2日分でも高いです。
3回目 採卵前の薬の処方と追加注射
3回目の通院は、生理11日目。
排卵誘発剤は8日間投薬済みです。
投薬6日目あたりから食欲が落ち、
食事が思うように喉を通らなくなりました。
意識はクリア、体もだるくない、お腹もすく。
でも食事を口に運んでもうまく飲み込めない。
「食べるのも修行!」
とがんばって食べてました。
ちゃんと美味しいけど、食事を
楽しめないのはつらかったです。
診察の内容は、
- 血中エストロゲン濃度測定
- 卵胞チェックと追加注射
- 採卵前の薬の投薬指導
この日に採卵日が決まりました!
お会計は14850円【自費!】
血中エストロゲン濃度測定
血中エストロゲン濃度測定は血液検査にて。
「採血大至急」と予約されているので、
比較的すぐ採血に呼ばれます。
血中エストロゲン濃度を測る目的は2つ。
- 卵胞の成熟度を知るため
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防
卵胞の成熟度を知るため
エストロゲンは
卵胞から分泌される女性ホルモン。
卵胞が成熟するほどたくさん分泌される
ようになります。
採卵のように同時に複数の卵胞を育てる場合
は、その数に応じて数値は高くなります。
卵胞の数に対してエストロゲン濃度が低ければ
もう少し育てる必要があるし、
逆に高ければ採卵前に自然排卵してしまう
おそれがあるので薬で抑えよう、と言う
判断になります。
ちなみに自然排卵を抑えるための薬
(GnRHアンタゴニスト:セトロタイド)は、
使用に同意書を求められます。
日本での使用経験が浅く(2006年〜)、
リスクもあり、自費(11000円)だからです。
エストロゲン濃度によって必要か判断される
ので、同意書は事前に書いて提出します。
同意書は書きましたが、
この薬は使いませんでした。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防のため
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、排卵誘発剤で
起こる可能性のある副作用です。
卵巣が過剰に刺激されることで腫れ上がり、
お腹や胸が浮腫んだり、重症例では腎不全や
血栓症など命に関わることもあります。
※厚生労働省 重症副作用疾患別対応マニュアル
エストロゲン濃度が3000を超えるとリスクが
高まるので、数値を確認しながら排卵誘発剤の
量を調整し副作用を予防します。
排卵誘発剤が少ないと採卵数が
減っちゃうし難しいところ。
医師の腕の見せ所ですね!
卵胞チェックと追加注射
超音波検査で卵胞の育ち具合を確認。
血中エストロゲン濃度とも合わせて
卵胞の成熟度を確認します。
多嚢胞だから数は育つけど、
もともと生理周期が長く成熟に
時間がかかる体質。
全然育ってない。
とのことで排卵誘発剤の注射がさらに追加。
ゴナールエフ150、院内注射。
ペン型自己注射じゃない分ちょっとお安め。
採卵前の薬の投薬指導
採卵周期3回目、生理11日目。
ついに採卵日が決まりました!
採卵日は生理14日目です。
採卵に向けて使用する薬が処方されました。
- ブセレリン点鼻液
- ボルタレン坐剤
ブセレリン点鼻液はGnRHアゴニスト。
意図的にLHサージを起こし
排卵をうながします。
点鼻は採卵2日前に全部で3回。
16:45、17:45、18:45
左右の鼻に各1プッシュです。
通常2回の様子。
私は脳下垂体が弱いので
3回みたい。
ボルタレン坐剤は消炎鎮痛剤。
本来は痛み止めですが、
ここでは排卵を抑える目的で使われます。
採卵前に排卵してしまわないよう
抑えてくれます。
坐剤は採卵前日と当日に全部で4回。
前日:0:15、8:15、16:30
当日:1:15
採卵前夜なのに
夜中まで起きてなきゃいけない
のはなかなかつらい!
時間どおり忘れずに薬を使えるか、
緊張しながら取り組みました。
4回目 追加注射
4回目の通院は、生理12日目。
採卵日の2日前。
排卵誘発剤の追加注射のためだけの受診です。
ゴナールエフ75、院内注射。
人によっては必要ないかも。
お会計は5060円【自費!】
この日の夕方から採卵前のお薬スタートです。
5回目 採卵
5回目の通院は、生理14日目。
いよいよ採卵です。
採卵日は前日22時以降の飲食禁止。
もちろん朝食もなしです!つらい!
採卵日の流れは、
- 旦那さん、採精室で採精へ
- 超音波検査で採卵できるかチェック
- 手術着に着替えて手術室へ
- 静脈麻酔下で採卵
- リカバリールームで目覚める
- 培養師さんから結果報告
- 内診台で最終処置、薬の処方
お会計は252200円【自費!】
検査・薬:2200円
体外受精:250000円
採卵日当日についてはこちらの記事。
静脈麻酔で寝ている間に終わってました笑
採卵後は薬が出されます。
- フロモックス:1日3回 4日分
- プレマリン:
次の日から1日1回 5日分
フロモックスは感染予防、
プレマリンは卵巣を休ませる目的。
そして採卵後は、家でゆっくり休むよう
指示を受けました。
採卵後は家で爆睡です!
夜も普通に寝れました!笑
痛くも辛くもなかったけど、
体には負担がかかってたんだなぁ。
6回目 採卵後のホルモンと卵巣チェック
6回目の通院は、採卵の2日後。
特にトラブルなく診察の日を迎えました。
診察の内容は、
- 血中プロゲステロン濃度測定
- 超音波検査
お会計は114950円【自費!】
検査:4950円
顕微授精技術料:49000円
AIタイムラプス使用料:61000円
血中プロゲステロン濃度測定
血中プロゲステロン濃度測定は血液検査にて。
「採血大至急」と予約されているので、
比較的すぐ採血に呼ばれます。
採卵後、プロゲステロンが正常に分泌されて
いるか確認します。
採卵時に卵子を卵胞ごと採ってしまう関係で
卵巣に黄体が残らず、採卵後はプロゲステロン
が正常分泌されない可能性があるからです。
プロゲステロンが分泌されないと採卵後の生理
が遅れる可能性があるので、結果によっては
プロゲステロン製剤が薬として処方されるの
かもしれません。
プロゲステロン、安定してないけど
ちゃんと分泌されていたようです!
超音波検査
採卵2日後の超音波検査では
主に卵巣の腫れ具合をチェックします。
卵巣の腫れは、右8cm、左6cm。
卵巣は通常は2〜3cm。
倍以上に腫れ上がっていました
卵巣が腫れているので
激しい運動は避けるように言われました。
腫れた卵巣は大きく重くなっており、
運動により卵巣捻転を起こす可能性があるから
です。
卵巣の重さで卵管がねじれることで激しい腹痛
を起こしたり、血流が止まり卵巣が死んでしま
ったりします。とても怖いですね…!
採卵後は安静に!
安静に過ごしましょう!!
7回目 培養師さんからの受精卵報告
7回目の通院は、採卵6日後。
採卵周期最後の通院です。
診察の内容は、
- 血中プロゲステロン濃度測定
- 培養師さんから培養・凍結結果報告
- 超音波検査
お会計は4950円【自費!】
血中プロゲステロン濃度測定
血中プロゲステロン濃度測定は血液検査。
「採血大至急」です。
引き続き採卵後のプロゲステロンが正常に分泌
されているか確認。
前回の数値と比較することで次の生理を予測
することもできます。
培養師さんから培養・凍結結果報告
培養師さんからの培養・凍結結果報告は
カウンセリングルームにて20分ほど。
報告の内容は、
- 何個の卵を凍結できたか。
- 凍結できた卵の質の評価。
- 受精卵の成長過程の動画。
何個の卵を凍結できたか
最終的に凍結できたのは26個。
胚盤胞は2個、残りは桑実胚での凍結。
本来は5日間培養、胚盤胞にしてから凍結
するらしいのですが、
私の場合、採卵5日目が日曜日で病院が休みの
ため、4日間培養での凍結になったそうです。
本来より1日早い凍結に
リスクはないの!?
通常問題ないとのこと。
桑実胚まで成長できる細胞であれば、解凍後
1日追加培養すれば胚盤胞になるそうです。
たまたま日曜日だったけど院長の判断での
4日目凍結なのでそこまで心配いらないと
説明を受けました。
名医が言うなら、信じます!
凍結できた卵の質の評価
卵の質の評価はグレード分類と
AIタイムラプスによる評価の2種類。
グレード分類は、胚の見た目、形から卵の質を
評価します。つまりグレードの良い卵とは、
形がきれいな胚のことです。
グレード分類についてはこちらのページが
とてもわかりやすくておすすめです。
AIタイムラプスは培養器にカメラが内臓されて
おり、胚の発育速度や形状を連続的に観察する
ことで、妊娠率の高い卵かどうかをAIが自動で
判定してくれるシステムです。
スコアは1〜5の5段階評価。
1が一番良くて、5が一番悪いです。
評価は紙にまとめて渡してくれます。
胚盤胞が少ないのでグレード分類は
まだなんとも言えませんが、
AIタイムラプスからは結構良い評価
をもらえてました!一安心。
受精卵の成長過程の動画
最後に、成長が早く良い評価だった卵の成長
過程のタイムラプス動画を見せてもらえます。
顕微授精直後。
卵子と精子二つの核が融合して一つになり、
ひとつの命として分割し成長していく過程は
とても感動しました。
動画自体は理科の教科書にも載って
るような普通の細胞分裂。
旦那さんの精子と私の卵子から
できたひとつの命という点が、
ただの細胞分裂を最高に感動的
なものにしてくれます!
超音波検査
採卵6日後の超音波検査は、
引き続き卵巣の腫れ具合のチェック。
卵巣の腫れはだいぶ落ち着いてきたとのこと。
そして排卵誘発剤のクロミッドの副作用で
子宮内膜はとても薄いとのこと。
採卵周期が移植に向かない理由の一つ。
超音波検査とプロゲステロン濃度の結果から、
もうすぐ生理が来るだろうとのことで、
次回の診察はリセット後となりました。
これで採卵周期の診察は終了です。
次の日に生理がきました。
さすが!
採卵周期の生理周期は20日間。
20日間のうち7回通院。
よくがんばったと思います!
まとめ
- 採卵周期の通院は全部で7回。
- 採卵周期のお会計は合計552892円!
次回支払いの凍結代55000円も含む。
体外受精 | 250000円 |
顕微授精 | 49000円 |
AIタイムラプス | 61000円 |
凍結代 | 55000円 |
その他(薬剤、検査など) | 137892円 |
- 排卵誘発は
クロミフェン-HMG/FSH法。
使用した薬は、
- クロミッド(飲み薬):1日1錠
10日間 - ゴナールエフ(注射):1日1回
10日間 - ブセレリン点鼻液:採卵2日前
3回 - ボルタレン坐剤:採卵前日、当日
4回
- 薬の影響はお腹の張り、食欲不振くらい。
- 採卵自体は静脈麻酔で寝てる間に終わる。
- 採卵後、腹痛も気持ち悪さもなかった。
体は疲れてるのでとにかく良く寝れる! - 採卵後は卵巣が腫れ上がる。
卵巣捻転のリスクがあるので激しい運動は
NG!
採卵周期の投薬や治療、採卵手術自体は、
大きな体調不良もなく、つらいものでは
ありませんでした。
一番つらかったのは頻繁な通院。
嫌味、ため息など悪態を隠さない上司に、
頭を下げて有給を申請するのが毎回本当に
つらかったです。
理解のない上司、職場の元での不妊治療は
本当に難しいことだと実感しました。
不妊治療の上司への報告、利用できる制度と
法律はこちらの記事にまとめてあるので、
ぜひ参考にしてくださいね!
自分の身は自分で守りましょう!
それから、やはりお金。
セントウィメンズクリニックは
ビジネスっ気のない誠実な病院ですが、
それでも採卵周期合計は約55万円。
そのうち料金表に明記されていない薬・検査代
は約14万円。
これは世間一般はもちろん、当事者である
私たちですら見落としがちな部分です。
助成金30万円はとっても嬉しいんですが、
正直全然足りません。
改めて全額自費の体外受精は本当に心身、金銭
共に厳しいなと思い知りました。
それでも無事受精卵を凍結できたのはとても
嬉しいし、今後に希望も見えてきました!
移植周期にも自己注射があったり頻繁な通院
が必要なようですが、引き続きがんばります!
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