子供がほしいのに、できない。
がんばって治療に取り組んでるけど、
時間も体力もお金も吸い取られて、
でも必ずしも努力が報われるとは限らない。
不妊治療は常に不安と隣り合わせ。
一方でまわりの友達は次々に妊娠していく。
大好きな友達だけど、素直に祝えないこと、
あると思います。
優しいあなたは「私はなんて心が狭いんだ」
と自分を責めてしまっていませんか?
自分を責めないでほしい。
だってこれは
人間に備わった心の自己防衛反応で、
あなた自身の心が狭いわけでは絶対にない
からです。
この記事では、
不妊と友達の妊娠にまつわる心の反応を
心理学の側面から読み解いていきます。
不妊のつらさは自分の中の劣等感からくるもの
不妊による心のつらさは
自分の中の劣等感からくるものです。
私は自然妊娠できなかった。
本当は望んだタイミングです
んなり子どもがほしかった。
「ほしいのにできなかった」という心の傷は、
程度の差はあれ不妊経験者であれば必ず
負っています。
好きで不妊に悩む人は一人もいません。
「不妊である」事実によって負った心の傷は、
劣等感としてあなたの意識に残ります。
その劣等感を刺激されると、
心がつらくて苦しくなります。
それは友達や芸能人の妊娠報告だったり、
友達からの子育てトークだったり、
街で見かける妊婦だったり赤ちゃんだったり。
妊娠・出産・子ども
に関するワードにとても敏感になります。
誰よりも自分自身が一番、不妊であることに
コンプレックスを感じているからです。
まずは不妊によって
自分は劣等感という心の傷を負っている
ということを認識しましょう。
劣等感に対する防衛機制
外部から劣等感が刺激されたとき、
自分の心を守るために無意識的な自己防衛反応
がおこります。
これを防衛機制と言います。
防衛機制
受け入れがたい状況、または潜在的な危険に晒された時、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理メカニズム。
引用:Wikipedia
たとえば、
- 友達の妊娠報告を素直に喜べない。
- 友達の子どもに会いたくない、
話を聞きたくない。 - 妊娠出産・子ども絡みの連絡を
無視してしまう。 - 先に妊娠出産した友達に
上から目線で接されそうでこわい。
のように、
心が狭いと自分を責めてしまいそうな考えや、
- 妊娠早くない?年齢的に焦ったんだな。
- 私の夫の方が稼いでる!
貧乏で子どもかわいそう。
のように、
攻撃性のある醜い考えが浮かんでしまうのも、
全部防衛機制で説明することができます。
つまり、これらは
心理学的に説明できる自己防衛反応であって、
あなたの心が特別狭いわけでも醜いわけでも
決してないのです!
ひとつひとつ読み解いていきます。
友達の妊娠報告を素直に喜べない
- 友達の妊娠報告を素直に喜べない
- 友達の子どもに会いたくない、
話を聞きたくない
これは防衛機制のうち「抑圧」という反応
で説明できます。
抑圧とは、受け入れ難い考えや感情や記憶を
意識の外に追いやること。
自分にはできないのに、後から結婚した友達が
簡単に妊娠していくのは羨ましいし、
自分は欠陥品なのではないかと不安にも
なります。
その事実を意識しないように、
妊娠した友達や子どもには会わないように、
できるだけ考えないようにして
自分の心を守ろうとします。
ちなみに抑圧と真逆の防衛機制に「反動形成」
という反応があります。
反動形成とは、
受け入れ難い考えや感情を見ないようにし、
正反対の態度や行動をとること。
たとえば、
本当は妊娠・出産した友達に会いたくないのに
会いに行って、無理して友達の妊娠・出産語り
を「うんうん♡それで?」と延々と聞いて
あげてしまうこと。
痛む自分の心に気づかぬふりをして、
友達のためを思って無理してしまうこと。
あなたも心当たりありませんか?
でもこれ、
友達は満たされるかもしれませんが、
自分の自尊心はボロボロになります。
無理はしないでほしいです。
妊娠・出産・子ども絡みの連絡を無視する
- 出産報告や子ども語りの連絡を
未読スルー - 出産妊娠した友達をブロックする
- 友達の妊娠報告を聞きたくない
これは防衛機制のうち「否認」という反応
で説明できます。
否認とは、
直視せずに、事実として認めないこと。
妊娠出産した友達との交流を断ち、
自分に子ども関係の情報が入らないようにして
自分の心を守ろうとします。
先に出産した友達に上から目線で接されそうでこわい
- 先に妊娠出産した友達から
上から目線で接されてそうでこわい。 - 不妊の自分を周りはどんな目で
見ているのかがこわい。
これは防衛機制のうち「投影」という反応
で説明できます。
投影とは自分の中にある感情や欲求を、
他人が自分に向けていると思うこと。
不妊による心のつらさは自分の中にある
劣等感からきています。
自分が一番不妊であることにコンプレックスを
持っているからこそ、他人にそれを知られた時
の反応を恐れて被害妄想に陥ってる状態です。
人間は良いことが10あっても、
嫌なことが1あったら、嫌な方の1が印象
に残ってしまうもの。
これを心理学では「ネガティブバイアス」
と言います。
経験則から考えられる最悪の妄想が
頭をよぎって他人が怖くなり、
一方的に壁を作って自分を守ろうとします。
私は「投影」が強いです。
「かわいそう」という憐れみ、
「私は不妊じゃなくてよかった♡」
という優越感を向けられることを
過剰に恐れています。
妊娠早くない?年齢的に焦ったんだな。
- 妊娠早くない?
年齢的に焦ったんだな。 - 四六時中盛ってたんでしょ。
攻撃的な醜い考えで自分のことが嫌い
になりそうですが、これは防衛機制のうち
「合理化」という反応で説明できます。
合理化とは、満たされない欲求や不安などに
対して、合理的な説明を与えることによって
自分自身を納得させようとする心のはたらき。
自分にできない妊娠を
他人が簡単にやってのけたことに対して、
ちょっと悪印象な理由づけをして
自分を納得させ、自分を守ろうとします。
ちなみに、
- 私が不妊なのは神様が与えた試練♡
- 不妊を経験したことで、
人の痛みが分かる私になれた♡
のような考え方は一見ポジティブですが、
結局一種の合理化です。
私の夫の方が稼いでるし!
- 私の夫の方が稼いでるし!
貧乏で子どもかわいそう! - 私の方が美人でスタイルいいし!
その遺伝子で子どもかわいそう!
これも醜い考え方で
自分のことが嫌いになりそうですが、
これは防衛機制のうち「補償」という反応
で説明できます。
補償とは、劣等感に対して
別の得意な性質によってバランスをとること。
他人が自分より優れている物を持っている
とき、自分の方が優れている物を引き合いに
出して、自分の心のバランスをとって
自分を守ろうとします。
「〇〇で子どもがかわいそう〜!」
は悪印象な理由づけなので合理化です。
自分の意志で自分の心を守ろう!
上記のように、
自分の心が狭く感じちゃう考えも
醜い感情に支配されちゃうのも、
本能的で無意識な自己防衛が原因なのです。
あなたの心が狭いわけでは決してありません!
本能的な自己防衛をしていることに
気づいたら、今度は自分の意志で
自分の心を守るための行動をとりましょう。
妊娠した友達に会いたくないなら
会わなくていいし、
友達の赤ちゃんに会いたくないなら
会わない行動を選びましょう。
それでもどうしても、
妊娠報告だけは避けては通れません。
大好きな友達の妊娠は喜ばしいことでは
ありますが、不妊の身にはつらいものです。
そんなときは一言。
「おめでとう」だけ伝えられるといい
と思います。
その一言で、報告した友達も、
お祝いを言えたあなた自身も救われます。
そのあと妊娠した私語りが続くようであれば
それ以上がんばる必要はないので、
自分を守るためにも早々に離脱してください。
妊娠した事実の報告が目的なのか、
それとも妊娠した私語りが目的
なのか見極めて、
適切に自分を守りましょう!
自己防衛を他人にまで求め出したら要注意
「私が不妊治療してるって知ってるくせに、
子どもの話ばっかりしてきやがって!!!
デリカシーのない女!!!」
なんて思い出したら要注意。
不妊であることを大義名分に、
自分の心のケアを他人に求めてはいけません。
いわゆる不妊様になってしまいます。
察してくれなくてイライラするくらいなら、
きちんと言葉で伝えた方が健全です。
「私はほしいのにできない状態だから、
子どもの話ばかりされるとつらいの」って。
本当の友達であればきっと理解してくれます。
とはいえ母親の世界の中心は子ども。
相手によっては子どもの話ができないなら
つまらないと距離ができる可能性はあります。
でも、それならそれまでと割り切って
しまってもいい気がします。
もしあなたの誠実な訴えに対して、
皮肉やマウンティングで返してくるような友達
であれば、今後の付き合いは考えた方がいい
のかもしれません。
結婚、妊娠、出産は
女の友情の分岐点。
乗り越えてこそ一生の友達です!
まとめ
- 「不妊である」事実によって私たちは
劣等感という心の傷を負っている。 - 劣等感が刺激されたとき、
自分の心を守るために無意識な
自己防衛反応「防衛機制」が起こる。 - 友達の妊娠出産に対して、
自分の心が狭く感じちゃうのも
醜い感情に支配されちゃうのも、
だいたい防衛機制のせい。
つまり、
あなたが特別心が狭いわけでも
醜いわけでも決してない! - 無意識な自己防衛をしていることに
気づいたら、今度は自分の意志で、
自分を守る行動を取ろう! - 他人に自分の心のケアを求めるのはNG!
不妊様にはならないようにしよう!
何を喋るかが知性で、何を喋らないかが品性。
スピードワゴンの小沢さんの言葉。
友達の妊娠出産に対して、
自分の心が狭く醜い考えに支配されても、
極論外に出さなければ自分の中では
どう考えてたっていいと思います。
でも私たちは自分で自分を責めてしまう。
これは精神衛生的に一番良くないことです。
そんなとき、そのつらさを少しでも和らげる
ためにあなたにできることは、
- 不妊に劣等感があり、防衛機制が
はたらいてる自分を認識すること - 自分の意志で自分を守ること
の2点です。
たくさん理屈を述べましたが、
意識するのはこの2点だけです。
あなたの心をあなた自身で
守ってあげてくださいね。
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