th1/th2比と不妊・不育症 〜タクロリムスは保険診療?費用は?〜

不妊治療
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なおんご
なおんご

なおんご(@naongo_home)です!

31歳で男性不妊発覚。

移植①は9w稽留流産。

移植②は化学流産。

移植③は着床せず。

移植④ホルモン補充周期移植にて

初陽性→出産しました。

移植①は9w稽留流産。

手術後、流産の原因を探るため不育症検査を
受けました。

その結果th1/th2比で引っかかり、
免疫系の不育症の可能性を指摘されました。

この記事では、

  • th1/th2比って何?
  • 妊娠に与える影響は?
  • タクロリムスで改善する?
  • タクロリムスは保険適用できる?

について、

私の経験を合わせて紹介します。

↓流産手術

↓私が通ってるクリニック

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流産の原因は?

流産の原因は、

受精卵側の染色体異常か、

母体側の不育症かが考えられます。

受精卵側の染色体異常

まず受精卵側の染色体異常については、

絨毛培養染色体検査で調べられます。

流産手術で取り出した絨毛(赤ちゃんになる
細胞)を培養して、染色体の数と形態を詳しく
調べます。

この検査で異常が見つかれば、

流産は受精卵側の問題である可能性が
高くなります。

ただし受精卵と母体どちらにも問題がある場合
もあるので、流産の原因を確定できるわけでは
ありません。

費用は82500円【自費】

(※2023年現在は保険適用!
3割負担で1万円くらい!)

なおんご
なおんご

絨毛培養染色体検査は
していません。

染色体異常は確率論で

対策できるわけじゃないから。

あと自費8万円は高い。

母体側の不育症

次に母体側の不育症。

こちらは血液検査で調べられます。

特殊な検査なので受けられる施設は
限られます。

また大学病院などでない限り検査会社へ委託となるので、結果が出るまで時間がかかります。

もちろん保険は効かず自費です。

(※2023年現在、一部は保険適用に!)

なおんご
なおんご

私はこちらを受けました。

母体の不安要素を

潰しておきたかったからです。

不育症検査にもたくさん種類があります。

  • 抗リン脂質抗体
  • 血栓性素因
  • 免疫異常

抗リン脂質抗体と血栓性素因は、
血栓ができやすく胎盤で詰まることで
血液が供給されず、胎盤が正常に働かず
流産に繋がってしまう不育症です。

2023年現在、保険適用の検査多数。

一部の原因では治療も保険適用になりました。

(参考:厚生労働省 不育症検査費用助成制度)

なおんご
なおんご

私は流産発覚前の検査で、

血栓のできやすさは否定されていたので受けていません。

↓流産発覚の経緯

私が受けたのは免疫異常の不育症検査。

  • NK細胞活性…16500円
  • th1/th2比…22000円

こちらは2023年現在でも研究段階であり、
費用は全額自費です。

お会計:38500円【自費】
なおんご
なおんご

th1/th2比でひっかかりました。

 

th1/th2比とは?

thとはヘルパーT細胞。

免疫に関わる体内物質の一種です。

th1はウイルスや細菌など異物を排除、

th2はウイルスや細菌が持つ特有のタンパク質
(抗原≒アレルゲン)を排除します。

th1とth2はどちらかの働きが過剰に
ならないよう調整し合い免疫の
バランスを保っています。

バランスが崩れ、

th1に偏ると炎症や自己免疫反応が、

th2に偏るとアレルギーが起きやすく
なります。

妊娠に与える影響は?

免疫は自分以外を異物とみなし排除します。

受精卵は、半分自分の卵子、
もう半分は自分以外の精子。

つまり免疫的に受精卵は異物です。

しかし妊娠において母体の免疫は受精卵を
受け入れるようはたらきます。(免疫寛容)

異物を排除するth1が減少、
th2が優位になることで妊娠が維持されます。

ところがth1/th2比による不育症では
この免疫寛容がはたらきません。

受精卵を異物とみなしth1が増加、
受精卵を排除しようとすることで
着床不全や流産を引き起こします。

th1/th2比のカットオフ値は10.3。

th1が過剰になるほど数値が上がります。

なおんご
なおんご

私のth1/th2比は通常時11.4。

妊娠5wで27.0まで上がりました。

(※タクロリムス服薬あり)

 

タクロリムスで不育症対策

th1/th2比による不育症は免疫異常に
よるもの。

そのため治療で使用されるのは、

免疫抑制剤のタクロリムスです。

引用:VIATRIS

th1/th2比の高い反復着床不全の患者に
タクロリムスを併用し胚移植した妊娠率は
63.3%と非常に高い
ことが報告されています。

参考:日本産婦人科学会

私のクリニックの場合、

移植2日前より服用開始、
判定日まで毎日服用継続。

移植②はタクロリムス1mg1日1カプセル
で化学流産。

移植③④は1日2カプセル服用です。

(※移植③は着床せず。)

なおんご
なおんご

移植④で人生初陽性!

移植④は初めてのホルモン補充周期
移植でもあり、タクロリムスの
おかげと言い切れるわけでは
ありません。

↓移植④について

妊娠後の通院スケジュール

タクロリムスは4w陽性後も継続。

妊娠によるth1/th2比の変化に応じて
タクロリムスの服用量を調節します。

5-8wは2週間に1回、

9w以降は1ヶ月に1回検査で通院しました。

なおんご
なおんご

検査も薬も自費。お財布痛い。

5w th1/th2比検査

診察内容

  • 胎嚢確認
  • 血液凝固能検査
  • th1/th2比検査
お会計:36900円【自費】
6w 結果→タクロリムス増量

診察内容

  • 心拍確認
  • 検査結果
    血液凝固能:異常なし
    th1/th2比:27.0↑
    タクロリムス1mg:
    1日2→3カプセル【増量↑】
お会計:5580円【自費】
薬局:13860円【自費】
(タクロリムス:3×15日分)
7w th1/th2比検査

診察内容

  • 2回目の心拍確認
  • th1/th2比検査
お会計:27340円【自費】
8w 結果→タクロリムス減量

診察内容

  • 3回目の心拍確認
  • 紹介状
  • 凍結保存料(55000円)
  • 検査結果
    th1/th2比:11.5↓
    タクロリムス1mg:
    3→2カプセル【減量↓】
お会計:60700円【自費】
薬局:14350円【自費】
(タクロリムス:2×30日分)
10w th1/th2比検査

診察内容

  • th1/th2比検査(採血のみ)
お会計:26200円【自費】
12w 結果→現状維持

診察内容

  • 検査結果
    th1/th2比:19.8↑
    タクロリムス1mg:2カプセルで維持
お会計:1850円【自費】
薬局:14350円【自費】
(タクロリムス:2×30日分)
なおんご
なおんご

タクロリムス:3→2カプセルに
減量になったことでth1/th2比は
上がりましたが、先生の判断で
2カプセル維持です。

14w th1/th2比検査

診察内容

  • th1/th2比検査(採血のみ)
お会計:25400円【自費】
16w 結果→現状維持→入院

診察内容

  • 検査結果
    th1/th2比:15.5↓
    タクロリムス1mg:2カプセルで維持
お会計:1850円【自費】
薬局:14750円【自費】
(タクロリムス:2×30日分)
なおんご
なおんご

この診察の次の日に大量出血。

切迫流産にて4週間入院しました。

入院中は通院できず、

手持ちのタクロリムスを1日
2カプセルで継続していました。

21w 退院→th1/th2比検査

診察内容

  • th1/th2比検査
  • 診察
    タクロリムス1mg:2カプセルで維持
なおんご
なおんご

入院中検査ができなかったため

現状維持です。

お会計:23850円【自費】
薬局:14350円【自費】
(タクロリムス:2×30日分)
23w 結果→タクロリムス減量

診察内容

  • 検査結果
    th1/th2比:12.2↓
    タクロリムス1mg:
    2→1カプセル【減量↓】
お会計:1850円【自費】
薬局:8350円【自費】
(タクロリムス:1×30日分)
27w th1/th2比検査→入院

診察内容

  • th1/th2比検査(採血のみ)
お会計:23100円【自費】
なおんご
なおんご

29wに検査結果の予定でしたが

28w検診にて切迫早産で入院。

出産するまで退院できないと
言われました。

31w タクロリムス追加処方
なおんご
なおんご

入院中タクロリムスの在庫が
なくなりそうに!

旦那さんに代理受診して
もらいました。

診察内容

  • タクロリムス追加処方
    タクロリムス1mg:1カプセルで維持
お会計:1850円【自費】
薬局:4838円【自費】
(タクロリムス:1×14日分)
なおんご
なおんご

医師の判断で

タクロリムス飲みきり終了!

セントウィメンズクリニックでは通常、

妊娠8w2回目の心拍確認でクリニック卒業。

それ以降の通院は不育症の影響です。

不育症の影響で通院は通常より8回多く

お金は230980円多くかかりました。

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タクロリムスはいつまで飲むの?

私の場合、移植2日前から服用開始、

妊娠34w4dまで継続、35w4dで出産。

つまりタクロリムスは出産の1週間前まで服用
していました。

ちなみに先ほどの論文では、

タクロリムスの服用期間を移植2日前から
判定日までの16日間としていました。

参考:津田沼IVFクリニック

th1/th2比とタクロリムスについては研究段階
であり、文献も症例も少ないのが現状です。

タクロリムスをいつまで続けるかは、
主治医の判断
になりそうです。

なおんご
なおんご

私の例は参考程度に。

私は出産一週間前にタクロリムスの服用を中止
していますが、本当は出産するまでやめたく
なかったです。

タクロリムスをやめたら免疫が赤ちゃんを攻撃
するんじゃないか、死んじゃうんじゃないか、
すごく不安だったからです。

しかしタクロリムスの影響で肝機能が
弱っていること、

入院してる病院では処方できないこと、

不妊治療の主治医が34wまでの服用で十分と
判断したこと、

35wで切迫早産の点滴中止→緊急帝王切開
になる目処がついていたことを理由に
中止となりました。

医師からはタクロリムス中止で
胎盤機能が弱る可能性を指摘されましたが、

胎盤は予備能が大きい臓器なので服用中止で
即座に機能が落ちるわけじゃない。

またタクロリムスを中止して胎盤機能が
落ちたとしてもそれが早期胎盤剥離のリスク
とはならない。

と説明を受けました。

なおんご
なおんご

服用中止時の推定体重と
出生体重は
ほぼ一緒。

タクロリムス中止後の一週間で

胎児の体重増加はなかったな?

と思っています。

 

タクロリムスは保険診療できる?

2023年現在、
タクロリムスは保険診療できません。

タクロリムスに不育症の適用がないからです。

そのため不妊治療にタクロリムスを併用する
場合、保険がきかず全額自費になる可能性が
あります。

体外受精の場合、移植から自費になるのか、

採卵から移植まで全部自費になるのか規定は
なく、各クリニックの判断になります。

なおんご
なおんご

私は保険以前の全額自費、
助成金対応だったから、
保険適用以降のことは
分からないけど、セントの院長は
患者負担が少ないようにして
くれてるんだろうなぁ。

タクロリムスと先進医療B

タクロリムスを保険適用にするためには、

有効データをたくさん集めて薬事委員会の
承認審査を通らないといけません。

どうしても時間がかかります。

そのデータ収集の名目で保険診療と併用で
タクロリムスを使用できるのが先進医療B
です。

研究目的なので患者側にタクロリムスの
費用負担はありません。

なおんご
なおんご

すばらしい!

すべての病院で先進医療Bを

受けられるようにしてよ!

しかし先進医師Bは申請登録が必要な上、

実施できる医療機関が限られます。

なぜなら、

現状タクロリムスがth1/th2比による免疫系
不育症を改善するという根拠がないからです。

根拠がない治療をとまどう医師もいると思うし
(訴訟リスク等)、研究目的の実施なのでデータ
を収集・集計・規格化して提出するには
膨大な時間・人手・お金が必要です。

すべての病院で実施すれば良いというのは
患者側の暴論になってしまいます。

なおんご
なおんご

それでも…早くタクロリムスを
保険にしてほしい。

保険化で助成金が廃止され治療の
選択肢が狭まって困ってる人も
たくさんいるよ泣

2023年5月現在、タクロリムスの先進医療B
を実施している医療機関は全国で4施設のみ
です。

参考:厚生労働省
先進医療を実施している医療機関の一覧

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まとめ

  • th1/th2比が高値だと
    免疫寛容がはたらかず、
    免疫が受精卵を排除しようとして
    着床不全や流産を引き起こす。
  • 免疫抑制剤のタクロリムスで対策できる。
    th1/th2比の高い反復着床不全の患者に
    タクロリムスを併用し胚移植した妊娠率は
    63.3%と非常に高いと報告がある。
  • タクロリムス服用期間は、私の場合、
    移植2日前〜出産一週間前まで。
    通院は通常より8回多く、
    お金は230980円多くかかった。
  • 2023年現在
    タクロリムスは保険診療できない。
    全額自費になる可能性がある。
  • 先進医療Bの実施機関であれば保険診療と
    併用でタクロリムスを使用できる。
    ただし実施機関は全国4施設しかない。

 

「不妊は自業自得」

「そんな歳まで遊んでたからだろ」

不妊治療は菅元総理が保険適用化を打ち出して
くれるまで自己責任とされてきた。

自己責任だから通院・治療に対する社会の
風当たりはすごく強かった。

それをやっと保険適用化してくれた!

病気・障害だと認めてくれた!

社会の風当たりを見直すよう労働基準法も
整備されつつある!

(努力義務に甘んじる中小企業はクソ)

(※私の上司と会社のこと)

それなのに、

タクロリムスによる不育症治療は保険適用外。

保険と自費の混合治療は認められないから
全額自費。

保険適用化で助成金が廃止されたことで
逆に費用負担が増えた人、治療の選択肢が
狭まった人がたくさんいるよ。。

不妊治療を保険診療にしてくれて
本当に嬉しい!

心の底から感謝してる!

それでも今、この瞬間も、

保険と自費の狭間で辛い思いをしている人が
たくさんいるよ!

この問題に声を上げられるのは当事者である
私たちだけ。

めちゃくちゃマイノリティ、少数意見。

民主主義の多数決においてマイノリティは
無視されがち。不利。

不利だからこそ、一人一人が声をあげたい。

首相官邸ご意見募集

パブコメ募集に積極的に参加する。

不妊治療を卒業しても、出産しても、

不妊不育で傷ついた心の傷は
今も生々しく在る。

私はこれからも声をあげ続けたい。

↓不妊治療と上司

↓不妊治療ブログまとめページ
(ほしい情報に飛べるよ!)

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